日本共産党の活動

「子どもの利益」語れない岸田政権
日本共産党参議院議員 仁比聡平さんに聞く
 しんぶん赤旗日曜版2024年5月12日号で特集しました。
離婚後「共同親権」を導入する民法改定案は、親子関係と家族のあり方に関する戦後民法の根本にかかわる改定です。
小泉龍司法相は「子どもの利益を図るということが、この法律の一番の目的」と述べました。しかし、国会審議で明らかになったのは、「子の利益」について具体的に語ることができない岸田政権の姿でした。

親の支配権
「子の利益」は親権者を定める場合をはじめ、親子関係のあらゆる場面で規範となるものです。日本共産党は、「お綾の子に対する支配」県という認識が色濃く残る「親権」の用語・概念を改め、子どもが安心・安全に暮らせるようにする子どもの権利と福祉の保障だと明らかにするよう求めてきました。
改定案は、父母が合意していなくても、裁判所が「子の利益」の観点から共同親権を定め得る(日合意型共同親権)としています。法務省は、「子の利益」とは何か、との私の質問に具体的な説明ができません。真摯(しんし)な合意のない父母が共同親権になれば、子どもは父母の葛藤にさらされ続けます。別居親による干渉や支配を復活、継続させる仕掛けとして使われ、子どもの権利や福祉が損なわれる危険性もあります。

特定の家族観
私が問いただしたのに対して飛び出したのが小泉法相の「子どもの利益が何かわからない親はいない」という答弁でした。そうであれば、子どもを虐待する親はいません。X(旧ツイッター)上にアップされたこの動画は156万回再生され、「ウンザリするほどいると思う」などのコメントが多数寄せられています。
小泉法相はその前にも「両親が離婚せずにその家庭で育つ。これが一番子どもの利益」と答弁しました。特定の家族観で法案を押し切ることは許されません。
共同親権導入によって、高校の授業料を無償化する就学支援金制度の対象から外れる子どもがでてくる恐れも新たに浮上しています。児童扶養手当、障害児福祉手当など、親の所得が要件となっている各省庁の子ども支援策は少なくとも28件あります。にもかかわらず、各省庁がまともに協議していません。多くの人に不安が広がるのは当然です。
改定の出発点は経済的に困窮するひとり親家庭への支援だったはずです。養育費の不払い解消はその大きな論点でした。しかし、求められていた国よるてて替え払いは盛り込まれていません。

専門家も警鐘
日本乳幼児精神保健学会は、子どもにとって最も重要なのは教育者との安定した関係だとして、離婚後「共同親権」導入によるリスクに警鐘をならす「声明」を出しています。「重要な科学的事実が礎とされているのか」との指摘を、深く受け止めるべきです。
私は、今こそ、ジェンダー平等や多様性、個人が尊重される政治や法のあり方とは何なのか議論することが大切だと思っています。
7日、参院法務委員会で参考人質疑が行われます。いよいよ底をついた議論が尽くされなければなりません。


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